オープンソース・ソフト Drupal を使った Web サイトの構築・サポート・研修

最先端の Drupal クラウド

米国マサチューセッツ州ボストンに本社を構え、2018 年に日本支社を設立した Acquia(アクイア)社は、Drupal をベースにした最先端のクラウド サービスを提供しています。以下、キーマンズネットに掲載された同社の記事をご紹介します(出典:キーマンズネット「大企業の必須課題を解決するCMSの最新潮流」)。


「マルチサイト」と「ヘッドレス」:

大企業の必須課題を解決するCMSの最新潮流

質の高いデジタル体験を提供するオープンソースのCMS「Drupal」は、大規模Webサイトの構築を検討する際の有力な選択肢だが、OSSを使いこなすのは簡単ではない。シンプルに、かつ強固なセキュリティ対策をした上で運用するにはどうすればいいか。

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Drupalの創始者が大企業向けデジタル体験プラットフォームを開発

 Drupalはドリス・バイタルト氏が2001年に立ち上げた、オープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)だ。大企業向けCMSとして知られ、世界的に見ると同システムを導入する企業は少なくない。

 バイタルト氏はその後2007年にAcquiaを創業し、同社が提供する商用CMSの機能拡張を続けてきた。そのDrupalコミュニティーの規模は、全世界に11万3000人の開発者を抱えるまでに成長。バイタルト氏はAcquiaの創業者兼会長でありながら、現在もDrupalプロジェクトリードを務める。

 DrupalとAcquiaの関係はLinuxとRed Hatを思い浮かべてもらえれば分かりやすい。コミュニティー主体で開発されたDrupalというCMSを、組織が必要とする機能を加えてパッケージングし、サポートやコンサルティングと併せてクラウドサービスとして提供するのがAcquiaという構図だ。同社は「世界で最も優れたデジタル体験を提供する共通プラットフォームを提供する」というビジョンを掲げ、業種を問わず全世界の大企業にCMSを提供している。

 Acquiaは米国ボストンに本社を構え、日本を含む8カ国のビジネス拠点で企業のCMS導入を支援している。同社は現在、3500社以上の顧客と約800社のパートナーを抱える。主要顧客は、大手メディア企業や政府機関、高等教育機関、消費財、テクノロジー、ライフサイエンス、金融と幅広い。日本の導入企業は、海運大手3社のコンテナ船事業を統合してできたオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)やアステラス製薬などが挙げられる。また、パナソニックも北米向けのWebサイトにAcquiaのソリューションを導入した。

 短期間にトラフィックが急増する世界的なイベントのサポートもAcquiaの得意領域だ。オリンピックなどのスポーツイベントから、グラミー賞まで、莫大(ばくだい)なトラフィックがあるサイトのプラットフォームにも採用されている。

 日本では、オープンソースのCMSといえば「WordPress」を連想するかもしれない。だが、グローバル市場においてWordPressはあくまで小規模Webサイト向けのCMSと位置付けられている。これに対し、Drupalは大規模向けと認知されており、明確にすみ分けの構図ができている。Acquiaも自社の顧客として大企業を想定しており、第三者機関による評価でも、Acquiaの製品はAdobe SystemsやSitecoreと並び、大企業向けCMS市場のリーダー的存在と評価されている。

Drupalを核にITとマーケティングが必要な機能を提供する製品を開発

 Acquiaの製品は、Webサイト構築から運用、最適化に至るまで全てのプロセスで必要となる機能を包括的に提供している。開発者を抱えるIT部門だけではなく、マーケティング部門で各種施策を運用するマーケターも利用できる製品体系を作り上げた。

 製品アーキテクチャは、ワークフローやメディア管理など企業利用に最適化されたDrupalディストリビューションである「Acquia Lightning」を中心に、いわゆるCMS機能を基盤とする「Experience Factory」と、CMSに連携するソリューション群である「Marketing Hub」がある。

Acquiaの製品アーキテクチャ(出典:Acquia)

 マーケター向けのMarketing Hubの機能としては、DMP(データマネジメントプラットフォーム)に相当する「Profile Manager」、パーソナライゼーションのための「Acquia Lift」、カスタマージャーニー管理の「Acquia Journey」、EC連携のための「Acquia Commerce Manager」、デジタルアセット管理の「Acquia DAM」がある。Acquia Lightningの下でソリューション提供を支えるのが、「Acquia Cloud Enterprise」とマルチサイトソリューションを提供する「Acquia Cloud Site Factory」だ。

 この他、大企業向けWebサイトの運用で求められる厳しいセキュリティ要件に対応するためのセキュリティ製品「Acquia Cloud Edge Protect」や、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)「Acquia Cloud Edge CDN」、継続的インテグレーションやモダンな開発を行うためのツール「Acquia CD」「Acquia BLT」が用意されている。Acquiaは、オープンソースソフトウェア(OSS)であるDrupal単独では提供できないソフトウェア機能に加え、クラウドインフラとセキュリティ、サポートを含めて包括的に提供している格好だ。

 AcquiaはPaaS形態で提供されており、初期費用が不要の年額サブスクリプション契約で導入できる。顧客サイトのセキュリティや稼働監視、必要に応じてセキュリティパッチ適用も実施しており、導入企業はWebサイトの開発、運用、デジタル体験の開発に集中できるという。アップタイムSLAは99.95%と、止まらないソリューションを提供している。中国のCDNはBaiduをパートナーとしており、中国に向けたコンテンツを配信することもできる。セキュリティだけでなく、EU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)はもちろん、PCI DSS、SOC1、SOC2、米国政府のクラウド調達のセキュリティ基準「Federal Risk and Authorization Management Program」(FedRAMP)など数多くの法令や基準に対応している。

Acquiaの強み

 「私たちはDrupalを基にサポートとコンサルティングを提供するところから始まり、Acquia Cloud EnterpriseとAcquia Cloud Site FactoryのPaaS部分、堅牢なセキュリティ、マーケター向けソリューションのSaaS部分と、提供できる機能を拡充してきました。私たちの戦略が評価されているのはそのためだと思います」とアクイアジャパン代表のダレン・ワトキンス氏は語る。

 Acquiaのターゲット顧客について、Acquiaバイスプレジデントのジョージ・ポリゾス氏は「Acquiaのお客さまは大企業です。野心的な顧客と私たちが呼ぶお客さまであり、全世界のDrupalトラフィックベースではトップ2.3%を占めるにすぎません。でもこれは意図的にやっていて、大規模運用を必要としている企業にサービスを提供するということなのです」と語る。

 Acquia以外にもDrupalを提供しているベンダーはあるが、中小の組織ではAcquiaが提供しているような高度な技術は必要としていないことが多い。競合との優位性は、Acquiaが提供している手厚いサポートにある。

 ポリゾス氏は、「私たちは年中無休のサポートを提供するため、大きな体制を社内に敷いています。Acquiaを必要とする企業システム要件は、世界的に考えてもとても厳しいので、Acquiaならできるという信頼から声を掛けてもらっていると考えています。複雑で要求が高いお客さまの期待に応えるため、製品の高度化を続けてきました。社内にはDrupalの専門家がそろっていますから、意欲の高いお客さまとパートナーに対し、いろいろなアドバイスをすることもできます」と語る。

 一般にOSSはスケーラビリティやセキュリティに問題を抱えることが多い。AcquiaはOSSのDrupalをベースにしているとはいえ、CMSの中でもセキュリティが強固なクラウドベースのプラットフォームとして整備されている。「セキュリティを重視するお客さまに満足して使っていただけていることは、3800サイトを運用しているNASDAQが使っていることからも分かってもらえると思います」というポリゾス氏の話は、Acquiaが大企業向けの要件に対応していることを裏付ける。

代表的なユースケース:マルチサイトとヘッドレス

 Acquiaの導入事例は2つに大別できる。1つはマルチサイトの事例だ。海外ではNASDAQの他、Warner Music、SAB Miller、Johnson & Johnson、Nestleのように、多くのブランドを擁する企業のマルチ言語サイトの運用を支える。国内では、前述したアステラス製薬がブランドガバナンスとサイト運用の効率化のため、サイトの運用を全てAcquiaに統一にしている。

 2018年4月に事業を開始したばかりのONEも、短期間でグローバル30サイトの運用開始にこぎ着けることができた。マルチサイトは、グローバルで事業を展開しているB2B企業の需要が多い分野なのだという。アクイアジャパン セールスディレクターの上田善行氏は「多言語のサイトをどう管理したらいいか苦しんでいる組織が多い」と見ている。

 もう1つはヘッドレスの事例である。ヘッドレスとは、Webブラウザに依存することなく、APIを連携させてコンテンツを配信するものである。これはオープンなAPIで他のシステムとつながることができるというAcquiaの強みを生かしたユースケースでもある。海外ではクルーズ会社であるPrincess Cruisesの客船内システムへの配信に、Vodafoneは店内のデジタルサイネージへの配信に、MTA(ニューヨーク地下鉄システム)はアプリに加えて駅の情報端末への配信にAcquiaを利用している。「ヘッドレスはDrupalのオープンソースコミュニティーのメンバーが研究を続けてきた知見を生かしてきた分野であり、Acquiaが最も多くの知見を持っていると自負しています。日本でもCMSでそんなことができるのかと驚くB2Cのお客さまが出てくるほど、関心が高まってきました」と上田氏は解説する。

 豊富なAPIは他のテクノロジーとの連携にも威力を発揮する。API指向設計のため、あらゆるシステムとの統合が可能であり、主要マーケティングオートメーションツール(MA)やSFAツールとの連携モジュールが用意されている。マーケターがAcquia Liftでコンテンツパーソナライゼーションを行いながら、MAやSFAとの連携で機能を拡張することもできる。

 「日本の大企業にもオープンソースCMSを使ってもらえる用意ができたと考えています。私たちのCMSは、IT部門とマーケティング部門の両方にサービスを提供するものです。セキュリティに強いだけでなく、パーソナライゼーションもジャーニーオーケストレーションも得意というユニークな立ち位置にいます」(ポリゾス氏)

 一方日本企業におけるデジタル体験提供の課題について、ワトキンス氏は「日本企業の取り組みを見てもどかしく感じるのは、せっかく海外進出をしているのにデジタル体験がバラバラになっていることです。ブランドに一貫性がないように見えてしまいますし、運用が非効率で、保守費用が負担になっているはずです。セキュリティ対策を含めて、課題は多いと認識しています。私たちが日本企業に訴えたいのは、共通プラットフォームでその問題を解決しようということです」と、日本企業がデジタル体験を提供する上での課題とその解決策について語った。

 アステラス製薬の場合は、Acquiaが提供するマルチサイトソリューションが同社の抱える課題解決に結び付いた格好の事例だといえるだろう。上田氏も「小売業や製造業からのお話が多くあります。当初想定していた5倍程度の問い合わせを頂いています」と話す。Acquiaはグローバル企業だけでなく、国内の大企業の課題解決支援に向けて意欲的に取り組んでいく。

acquia
左からAcquiaのジョージ・ポリゾス氏、上田善行氏、ダレン・ワトキンス氏