オープンソース・ソフト Drupal を使った Web サイトの構築・サポート・研修

Drupal でのクロスチャンネル ユーザー体験

去年の今頃、僕は「Web の大反転」(Big Reverse of the Web)が Web の構造に対する大幅な見直しを迫ることになるだろうと書いた。それは、正しいときに正しい状況で正しい情報を正しい人に提供するためのものだ。僕は Amazon Echo のような会話的なインターフェイスが、この大反転が起きていることを示すさらなる証拠だと信じている。

ユーザー体験やディストリビューションプラットフォームで新しいものが現れるのは、せいぜい 5 年から 10 年おきくらいだ。ただ、それらが現れると、その下部にある Web のテクノロジーに大規模なシフト(転換)を引き起こす。最近の大きな例でいえば、それはモバイルであり、Web 業界はそれに適応した。会話的なインターフェイスは、そんな次のユーザー体験およびディストリビューションプラットフォームになり得る。それは、Amazon Echo(別名 Alexa)、Facebook のメッセンジャーMicrosoft の Conversation-as-a-Platform を見れば、一目瞭然だ。

今日、モバイルに最適化された Web サイトを構築すべきかと問うような人はまず、いない(問うまでもない)。今から十年後、音声あるいはチャットによるコマンドのデジタル体験を最適化すべきかという点について、僕たちは同じことを言っているかもしれない。カスタマー体験の利便性は差別化をはかる決定的な鍵となるだろう。結果として、音声およびチャットのような会話的インターフェイスを含む、多重のインタラクションパターンに対して自分の Web サイトを最適化すべきかどうかとためらうような人はいなくなる。いくつものチャンネル、デバイス、インタラクション パターンにわたって、誰もが継続的なユーザー体験を提供できるようになるだろう。これらのクロスチャンネル体験のいくつかにおいては、ユーザーが Web サイトに目を向けることすらまったくない。ユーザーは何でも尋ね、即座に ―― 大抵はパーソナライズされた形で ―― 結果を得る。それによって、会話的なインターフェイスは、ユーザーにとって、間にある Web サイト(の存在感)を消すことになる。

この未来形の試作品を作るため、Acquia 社内のチームは Drupal 8 上でフルに機能するデモを組み上げ、動画に記録した。以下のデモビデオでは、Gourmet Market(グルメ マーケット)というサンプルのスーパーマーケット チェーンが出てくる。Gourmet Market は自社の Web サイトを使ってカスタマーにオンラインで購入してもらいたいだけではなく、Echo やプッシュの通知も使ってカスタマーとの業務を展開したいと考えている。

僕たちは Alexa を Gourmet Market サイトに接続し、セール商品(特売品)に関する質問に答えるため、Alexa Integration モジュールを作った。(それを利用するには)たとえば、こんなコマンドをしゃべればいい。「アレクサ、グルメマーケットに、今日はどんな果物がセール中か、聞いてみて」。そうすると、Alexa は Gourmet Market の Web サイトを呼び出し、指定されたカテゴリー内でセール中のものを見つけ、尋ねた内容に関係した、必要な情報だけをプルしてくれる。

Web サイトの側では、店長(ストア マネージャー)が特定の商品に「セール中」のタグを付けることができる。その変更は自動的かつ即座に Alexa の音声レスポンスに反映される。マーケティング マネージャーはプログラミングの専門知識を身につける必要はない。Alexa は Web サービス API を使って Drupal 8 とやりとりをすることによって自分のレスポンスを組み立てる。

このデモビデオは、あるサイトがスマートな通知を配信するにはどんなやり方があるだろうかという点も示している。自分の尋ねた商品がセール中ではない場合、Gourmet Market サイトでは、店長がその商品に「セール中」のタグを付けると、自動的にテキストで通知してくれるようにすることが可能だ。

技術的な視点からいえば、僕たちは音声コマンドに対する応答の仕方を Drupal に教えなくてはならなかった。それは、一般に「スキル」と呼ばれるものであり、それが Alexa に入るわけだ。Alexa スキルの作り方はいたって素直なものだ。まず、「意図(Intents)」のリストを定める。それは基本的に、ユーザーから実行させたいコマンド群であり、やり方は Drupal でいう「ルート」とそっくりだ。そうしたら、意図に対応するかたちで Echo に応答させたい「発言(Utterances)」あるいは文章のリストを決める。上記、Gourmet Market の例でいえば、意図には GetSaleItems と呼ばれるコマンドがあるだろう。いったん、そのコマンドが実行されると、Drupal サイトは、そのコマンドと関連引数を載せた Webhook コールバックを /alexa/callback に受け取る。Drupal 8 用の Alexa モジュールは、そのリクエストが本当に Alexa から来たのか確認し、Drupal イベントを発信する。すると、あらゆる Drupal モジュールが応答できるようになる、という仕組みだ。

新しいユーザー体験と配信プラットフォームが未来における Web 構築方法をどう変えていくことになるか考えるのはワクワクするものだ。DrupalCon New Orleans の基調講演でも触れたことだが、Drupal コミュニティーは、多重チャンネルのカスタマー体験を設計、構築する方法について考えてみる必要があると思う。音声アシスタンス、チャットボット、あるいは通知(システム)は、より大きな方程式のほんの一部でしかない。このトピックについてもっと意見があるようなら、コメント欄にシェアしてほしい。

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